最高裁判所第三小法廷 昭和53年(オ)348号 判決 1978年6月27日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人小坂嘉幸の上告理由第一点について
控訴に関する一切の訴訟行為の委任を受けた代理人は、その相手方の提起した控訴について特別の委任を受けなくても、当然被控訴代理人として訴訟行為をする権限を有するものと解するのが、相当である。記録によれば、上告代理人は上告人から控訴に関する一切の訴訟行為をする権限を授与されたものであることが認められる。したがつて、被上告人から提起された控訴事件についても上告代理人が上告人を代理する権限を有するものとした原審の措置に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
同第二点について
原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、所論の点に関する原審の認定判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の裁量に属する精神上の損害額の量定を非難するものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 天野武一 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕 裁判官 環 昌一)