最高裁判所第三小法廷 昭和63年(オ)937号 判決 1992年7月14日
上告人
日本電信電話株式会社
右代表者代表取締役
山口開生
右訴訟代理人弁護士
片山欽司
入谷正章
被上告人
井上冨士子
右訴訟代理人弁護士
石坂俊雄
村田正人
松葉謙三
福井正明
伊藤誠基
赤塚宋一
中村亀雄
川嶋冨士雄
水野幹男
斉藤洋
冨田武生
良原栄三
石川憲彦
山田幸彦
山田万里子
富永俊造
花田啓一
右当事者間の名古屋高等裁判所昭和五八年(ネ)第一八七号、第二二〇号損害賠償請求事件について、同裁判所が昭和六三年三月三〇日言い渡した判決に対し、上告人から一部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人片山欽司、同入谷正章の上告理由について
被上告人が昭和四七年四月ころから同五五年七月ころまでの間電話交換業務に起因する頸肩腕症候群に罹患し、当時上告人の使用者であった日本電信電話公社にはその発症ないし増悪を防止すべき注意義務に違反した債務不履行責任があるとした原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下において、右債務不履行に基づいて被上告人に生じた損害は一五〇万円とするのが相当であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づき若しくは原判決を正解しないでこれを論難するものにすぎず、採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 坂上壽夫 裁判官 貞家克己 裁判官 佐藤庄市郎 裁判官 可部恒雄)