大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和22(れ)184 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人石高栄次郎並に被告人の提出した上告趣意及び上申書は末尾に添附した別

紙書面記載の通りである。

石高栄次郎上告趣意第一点について。

しかし原審は被害者は蛸壷壕の中に投入れられる前に既に死亡していたと認定し

たものであることは判文上明白である、そして原審の挙示した証拠によつて右のよ

うに認定したことは実験則其他何等法則に違反するところはない、論旨前段は畢竟

原審の事実認定を非難することに帰着するので適法な上告理由とならない、そして

前述の如く原審において被害者は蛸壷壕の中に投入れられる前に死亡したものと認

定したものであるにかかわらず論旨後段は被告人は蛸壷壕の中に投入れられる前に

死亡したのか投入れられた後に死亡したのか明瞭でないと主張し原審の認定した事

実に反する独自の見解を前提として死体遺棄罪の成否を論ずるのであるから適法の

上告理由とならない。

第二点について。

憲法第十三条はすべて国民は個人として尊重せられ生命に対する国民の権利につ

いては立法其他国政上最大の尊重を要する旨を規定している、しかし同条は公共の

福祉に反しない限りという制限を設けているのであるから公共の福祉に反する場合

には生命に対する国民の権利といえども之を制限乃至剥奪することを予期している

のである、そして憲法第三十一条の反面解釈によれば法律の定める手続によれば生

命を奪う刑罰をも科し得ることを定めているので日本国憲法は我国の社会情勢にか

んがみ公共の福祉の為死刑制度の必要を認めたものであることが明かである、従つ

て判示の罪を犯した被告人に対し死刑を科したからとて所論の如き基本的人権を無

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視したことには当らないばかりでなく死刑を科したことは時代錯誤であるという論

旨もまた当を得ない、要するに論旨は結局原審の量刑不当を非難することに帰着す

るから採用し難い。

裁告人A上告趣意並に上申書について。

被告人の提出した上告趣意書並に上申書は何れも原審の事実誤認を主張すること

に帰着するばかりでなく何れも上告趣意書提出期間後に提出したものであるから採

用できない。

よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 宮本増蔵関与

昭和二三年九月七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官庄野理一は退官につき署名捺印することができない。

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

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