大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1263 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人新妻幸宣の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

弁護人新妻幸宣上告趣意第一点について。

しかし原判決において証拠として挙示した原審公判における被告人の供述によれ

ば裁判長より第一審判決書記載の第一の二の(一)の事実を読聞かされたのに対し

其通り相違ない旨を述べていることがわかるのであるが右読聞かせられた部分には

被告人が被害者A(Bなる者は記録上存在しないからAの誤りと認められる)に対

し短刀を示したとあるから被告人は原審においてAに対し短刀を示したことを認め

ているのである。しかのみならず原判決挙示の証拠によれば被告人はAに対し判示

申向けをした際右手に短刀を提げていたこと及び被告人の背後には多数の共犯者が

いたことは明らかであるから仮りに被告人が短刀を提げていたことは短刀を示した

といえないとしても被告人は短刀を右手に提げており其背後には多数の共犯者がい

たのでAが手出しができないほど脅かされたものと認め得るのであるから原判決に

おいて挙示の証拠により判示事実を認定したことは虚無の証拠によつたものとはい

い得ない。論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし日本国憲法の施行に伴ふ刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第一二条第

一項本文については、証人其他の者(被告人を除く)の供述を録取した書類又は之

に代るべき書類は公判期日において被告人に対し供述者又は作成者を訊問する権利

のあることを告知して其訊問の請求をするかどうかを確かめることは望ましい事で

はあるが之をしなかつたからとて前記法条に違反するものでないことは当裁判所の

屡々判例とするところである。そして原審において被告人の側より所論の証人につ

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いて訊問の請求をしなかつたことは記録上明らかであるからこれ等証人について訊

問をしないでこれ等証人が第一審公判においてなしたる証言を録取した第一審第三

回公判調書を証拠としたからとて所論の如き違法はない。論旨は理由がない。

よつて刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決す

る。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 長谷川瀏関与

昭和二四年二月一五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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