大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1392 判決

主 文

本件上告はこれを棄却する。

理 由

弁護人保坂治喜の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

弁護人保坂治喜上告趣意第一点について。

しかし原判決挙示の証拠によれば被告人は深夜被害者A方に侵入し匕首を同人に

突きつけ判示の如く申向けた事実は明かである。所論の如く右Aは突きつけられた

物は匕首であるとはつきり認識はしないで、ただ光る棒のような物だと思つたとし

ても深夜見知らぬ男が独ねていた処え侵入して判示の如き申向けをされたのである

から、当時一九年のAが抵抗のできないほど畏怖したであろうということは常識上

認め得るところである、従つて原審において挙示の証拠により被告人は右Aを抵抗

のできないほど畏怖せしめて判示の金を強奪したものと認め被告人の犯行を強盗と

断じたことは正当であつて所論の如き違法はない。論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし論旨を貫徹すれば生活困難な家族を有する者は如何なる大罪を犯しても実

刑を科すことができない結果となる。しかし憲法第二五条は国家の刑罰権に対しか

ような不合理な制限を加える趣意でないことは当裁判所判例の示す通りである(昭

和二二年(れ)第一〇五号同二三年四月七日大法廷判決言渡)論旨は原審の量刑不

当を非難することに帰するから上告適法の理由とならないものである。

同第三点について。

原審公判調書を閲するに原審公判において検事は原審(第一審を指す)通りの求

刑をした旨の記載がある。原審通りとあるので意味がやや不明であるが第一審公判

立会検事の求刑と同様の求刑をしたという趣旨であると解し得るものである。しか

のみならず所論の如く原審における検事の求刑は明白でなかつたとしても原審公判

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において裁判長は証拠調修了後において検事の意見陳述の機会を与えたことは記録

上明白であるから原審公判手続には何等欠くるところはない。論旨は理由がない。

よつて刑事訴訟法施行法第二条、旧刑事訴訟法第四四六条、当裁判所判事務処理

規則第九条四項により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二四年三月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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