大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1501 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大谷彰一及び被告人の各上告趣意は末尾添附の書面記載のごとくであつて、

これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

弁護人大谷彰一の上告趣意第一点について。

原判決の判示第三事実中の所論「午後零時頃」の記載が「午前零時頃」の誤記で

あることは、原判決の引用する証拠の記載と原判示事実の当該部分の前後の記載と

を対照すれば明かであるから、原判決には所論のように証拠によらないで事実を認

定し若しくは証拠の趣旨を誤解して不当に事実を認定した違法はなく論旨は理由が

ない。

同第二点について。

本件の公判請求書記載の事実と原判示第三事実とを比較対照してみるに、原判決

においては被告人等の強取した財物を「地下足袋二十数点及びその他の雑品数十点」

としたのに、公判請求書の方は「現金七千百円地下足袋二十五足他数十点」とあり、

なお原判決が論旨第一点に説明したごとく犯時を午後零時と誤記している外はその

他の点において両者の間に異なるところはない。されば被害物品に多少の差異があ

るとしても具体的な窃盗の犯行そのものには異同がないのであるから、原判決は審

判の請求を受けない事件について判決し若しくはこれを受けた事件について判決し

なかつた違法はなく論旨は理由がない。

同第三点について。

判決の認定事実における日時と公訴事実における日時とがたまたま異つていても

事実の同一性を失わない場合もあり得るのであつて、事実の特定ということは日時

のみによつて為されるのではない。しかも本件においては原判決の日時は全くの誤

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記であること論旨第一点について説明したとおりであるから、原判決が公訴事実と

異なつた認定をしたという違法はなく論旨は理由がない。

被告人の上告趣意について。

論旨は原判決の認定した事実と少しく異つた事実を主張して寛大な処置を求める

というのであるが、かゝる事由は上告の適法な理由とならないから採用することは

できない。

よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 宮本増蔵関与

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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