最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1585 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人小原栄次の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載のとおりである。
第一点について。
しかし、被告人に犯意がないという主張は旧刑事訴訟法第三六〇条第一項の罪と
なるべき事実がないという主張であつて、同条第二項の犯罪の成立を阻却すべき原
由たる事実上の主張には当らない、そして原判決は挙示の証拠により被告人に犯意
ありと認定し有罪の言渡しをしたものであるから所論の如き違法はない。論旨は旧
刑事訴訟法第三六〇条の解釈を誤つたものであつて理由がない。
第二点について。
しかし原判決は挙示の証拠を総合して判示事実を認定したものであり、原判決挙
示の各証拠を総合して判断すれば優に判示事実を推断し得るものであるから、所論
の如き採証法則違背は認められない。論旨は理由がない。
第三点について。
原判決が証拠として挙示したAに対する司法警察官の聴取書によれば「Bと言う
「ゴロツキ」が一人でやつてきて店先で主人に対し「俺は六十人からの乾分を食は
しておくのだ此前お宅で泥棒に入られたさうだが俺とこの若い者を名指したのは如
何いう訳か」というので、私が「交番に届けたのは私ですが決して泥棒を名指した
訳ではありません」と言訳をしましたが聞き入れそうもなく、初めから難癖をつけ
る様な振りなので、主人も頭を低くして何遍も謝りましたが勘弁してくれそうにも
見えませんでした」とあり、且つ右聴取書によれば右の事があつた翌日被告人は右
A方へ二度も出かけた事実及び右A方では、かように何遍も来られては恐ろしくて
仕方がない、こんな人には金をやつたら来なくなるだらうから幾何でもやれという
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心持になつて、Aは三百円の紙包を同人に与えた旨の記載があるので、右聴取書を
証拠として判示第二事実を認定したことは相当であつて、虚無の証拠によつて事実
を認定したものではない、論旨は理由がない。
よつて刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条により主文のとおり判決
する。
以上は裁判官全員一致の意見である。
検察官 柳川真文関与
昭和二四年三月二二日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 穂 積 重 遠
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