大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)532 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人佐々木日出男及び同古賀元吉の上告趣意は未尾に添附した書面記載の通り

である。

弁護人佐々木日出男、上告趣意第一点及び弁護人古賀元吉の上告趣意について。

しかし原判決の認定した事実によれば被告人両名及び第一審相被告人Aの三名は

午後十時半頃道路上において被害者Bをとりかこみ「金を出せ服を脱け」と申向け

て脅迫し其反抗を抑圧して金品を強取したというのであるが、右事実は原判決挙示

の証拠によつて認め得るのであり右事実を以て強盗であると認定したことは所論の

如き条理に反したものであるとか経験則に違反したものであるということはできな

い論旨中には弁護人の単なる想像に基いて原判決を非難するところがあるがそれは

上告の理由とはならない従つて原判決は所論の如き理由不備もなくまた擬律錯誤も

なく、論旨は理由がない。

弁護人佐々木日出男上告趣意第二点について。

しかし憲法第三十八条第三項並に刑訴応急措置法第十条第三項に所謂「自己に不

利益な唯一の証拠か本人の自白である場合」中には被告人の自白を裏書するに足る

証拠がある場合は含まれないことは当裁判所の屡々判例とするところである、そし

て原判決は証拠として被告人の自白の外に各被害始末書並に被害物件の存在を挙示

しているのであつてこれ等証拠は本件犯罪の被害の発生したことを証明するもので

ありこれ等各証拠を被告人の自白と対照して判断すれば優に判示事実を認定し得る

のであるし一個の犯罪事実の一部について被告人の自白以外に被告人に不利益な証

拠がない場合でも所論各法条に該当しないこともまた当裁判所の屡々判例とすると

ころであるから論旨は理由がない。なお論旨は現場の検証をしないことを非難する

- 1 -

のであるが検証をなすべきか否かは原審の裁量にまかせられているのであるから検

証をしないからとて何等の法則にも違反しない、従つて論旨は理由がない。

同第三点について。

論旨は結局量刑の不当を非難することに帰着するので適法な上告理由とならない。

よつて刑事訴訟法第四百四十六条及び昭和二十二年最高裁判所規則第六号第九条

第四項により主文の通り判決する。以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二三年一〇月五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!