大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)645 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人清水武夫上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

第一点について。

記録に徴するに公判請求書には被告人Bは昭和二三年三月中旬頃より同年八月中

旬頃迄の間前後数回にわたり東京都港区a町b番地c号C倶楽部支配人D管理に係

る連合国財産たるココア三ポンド入罐外食料品罐詰十罐を窃取しこれを原審相被告

人Eに売渡した旨の記載がある、そして原判決において認定した事実は被告人は右

公判請求書記載と同一物品を公判請求書記載の年月日とほぼ同年月日頃同倶楽部に

おいて横領しこれを原審相被告人Eに売渡したというのであつて占領米国軍の財産

である前記物品を不法に領得したという点は同一であり公訴の目的となつた基礎の

事実には変更なく唯これに対する法律上の解釈を異にしたにすぎないのであるから

原判決は審判の請求を受けざる事実に対して処刑した違法があるという論旨は当ら

ない。論旨は理由がない。

第二点について。

しかし記録に徴するに昭和二三年三月二四日の公判において所論の書面を被告人

の利益の為証拠として弁護人より提出したことは同日の公判調書に記載されていな

いから所論の書面が右公判において証拠として提出されたものと認めることはでき

ない。もつとも右書面は記録第八四丁として編綴されてある点より観察すれば或は

公判期日前に提出されたものの様であるが、しかしそれとしても証拠として提出さ

れたと認むべき何等の形跡もない。唯同書面の文意は被告人の釈放を嘆願する意味

であるから、原審では一応参考として記録に綴込んだにすぎないものであることが

窺われる。従つて右書面の提出されたことを調書に記載しないからとて所論のよう

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な違法があるとは言いがたい。論旨は理由がない。

よつて刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二三年一〇月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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