大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)791 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人A及弁護人加藤勝之助各提出の各上告趣意は末尾添附別紙記載の通りであ

りこれに対する当裁判所の判断は次の如くである。

被告人A上告趣意について。

論旨は原審の量刑に対する批難等で原判決が法律に違反することを理由とするも

のでないから上告の理由とならない。

被告人両名弁護人加藤勝之助の被告人Aに付ての上告趣意第一点について。

原判決は被告人の生年月日を大正五年五月三〇日と表示していることは論旨にい

う通りであるが右大正は昭和の誤記であること記録上明白である。しからば被告人

は原判決当時はまさに一七年一一月二九日である。従つて少年法第一条に所謂「一

八歳ニ満タサル者」に該当するから原判決がこれを少年として取扱つたのは当然で

論旨は理由がない。

同第二点に付て。

所論の昭和二二年法律第一二四号は附則第四項において「この法律施行前の行為

については刑法第五五条の改正規定にかかわらずなお従前の例による」旨を規定し

ているので右法律の施行の日たる昭和二二年一一月一五日以前の行為である本件犯

罪を処断するにつき刑法第五五条の規定を適用して被告人に対し刑の言渡をした原

判決には何等違法の廉はない。論旨は理由がない。

同第三点に付て。

酌量減軽の規定を適用するとしないとは原審の専権事項であるから被告人に対し

てこれをしなかつたとて法律違背ということは出来ない。尚原審の事実認定を批難

する論旨は上告の理由とならない。

- 1 -

同弁護人の被告人Bについての上告趣意に付て。

原審公判調書の記載をみるに被告人は司法警察官の聴取書中の本件犯行を自認し

た供述を記載した部分(記録六九丁以下)を読聞けられその通り相違なき旨を答え

ているのである。すなわち被告人は原審公判廷において犯罪事実を自白しているの

である。この供述によつて犯意の存在を認めることができる。しかも原判決はこの

証拠の外に更に被害者の盗難被害届書写中の記載をも挙げている。これらの証拠を

綜合すれば原判示窃盗の事実は認め得られるのであつて、所論の如く証拠理由不備

の違法はない。論旨は理由がない。

被告人B弁護人兼築義春は上告趣意書を提出したが、右は当裁判所が最初に定め

た公判期日である昭和二三年一一月九日の十五日前である同年一〇月二五日迄に当

裁判所に差出さなければならないものであるのに右趣意書が当裁判所に到達したの

は同年一一月六日であるから期間経過後のものである、従つて、これに対しては判

断をしない。

よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二三年一一月三〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!