大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(オ)159 判決

主 文

上件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由は末尾に添えた書面記載の通りである。

上告理由第一点について。

原判決がその理由において、甲第一号証につき「正に成立したものと認め得られ

る」と判示していることは所論の通りであるが、その判示は、これを原判文の全趣

旨に徴すると「眞正に成立したものと認め得られる」の誤記であることが極めて明

白でめる。そしてかかる明白な誤記は裁判所は何時でもこれを更正することができ、

右のように誤記したからといつてこれを甲第一号証の成立を認めた趣旨と解するに

何等の支障もないから、右書証を事実認定の証拠に供した原判決には毫も違法がな

く、論旨は採用できない。

上告理由第二点について。

記録中の第一審証人Dの訊問調書によれば同調書中に論旨に指摘する通りの訂正

個所のあることは明白であるが、その訂正が眞実の供述に反して爲されたというこ

とは同証書の全趣旨その他上告人援用の全証拠によつてもこれを認めることはでき

ないし、またその訂正が正反対の供述の趣旨に爲されているからといつて、この一

事のみで爲めにする訂正であるということもできないから、右訂正された供述を証

拠に採用した原判決には何等採証の法則に反するところはなく論旨前段は理由がな

い。

また証拠の申出を採用すると否とは事実審裁判所の裁量權の範囲に属し、その必

要と認めないものはこれを取調べることを要しないから、原審が上告人の申出た証

人のE及びFの両名のみを訊問しその余の証人を訊問しなかつたからとて、上告人

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の証拠調の申請を不當に制限したものということはできない。從つて論旨後段も理

由がない。

よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条を適用し主文のとおり判決す

る。

右は全裁判官一致の意見である。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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