大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)1159 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人清水正雄の上告趣意について。

しかし憲法第二五条第一項の法意は、国家は国民一般に対して概括的に健康で文

化的な最低限度の生活を営ましめる責務を負担し、これを国政上の任務とすべきで

あるとの趣旨であつて、この規定により、直接に個々の国民は国家に対して具体的

現実的にかかる権利を有するものではないこと、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)

第二〇五号、同年九月二九日大法廷判決)の示す通りである。従つて本件被告人が

仮りに食糧の配給が円滑でなくて困つていたとしても、食糧営団の係員を欺罔して

米の配給を受けこれを騙取した以上、右の憲法の法条を援用して科刑を免れる理由

とすることもできないし(昭和二三年(れ)第六三五号同年一〇月一六日第二小法

廷判決参照)、又このような所為を処罰した原判決を憲法違反ということもできな

い。よつて論旨第一はその理由がない。

論旨第二は執行猶予の言渡を求めるものであつて、結局原判決の量刑不当を主張

することに帰するから、適法な上告理由とならない。右の理由により最高裁判所裁

判事務処理規則第九条第四項、旧刑訴法第四四六条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 長谷川瀏関与

昭和二四年七月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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