大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)172 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理 由

弁護人岡崎一治の上告趣意は末尾に副えた別紙記載の通りである

(一) 論旨第一点は、原審公判調書に被告人が「公判廷で身体の拘束を受けず

との記載がない」ことを指摘し、被告人の法廷における身体不拘束は「たとえ保釈

中であると否とを問わず一つに之を公判調書に明記してこれを証明せなければなら

ない」とし、この点の不備を以て刑事訴訟法第四一一条の事由あるものとするので

ある。しかしながら、本件公判期日当時被告人は保釈中だつたのであつて、その場

合に公判調書に何らの記載がなければ被告人が身体の拘束を受けなかつたことが推

定される旨は、当裁判所の判例とするところであつて(昭和二三年(れ)第一三号

事件同年三月三〇日言渡第三小法廷判決参照)論旨は刑事訴訟法第四〇五条の上告

理由にならず、また原判決につき同法第四一一条に該当する事由ありとも認められ

ない。

(二) 論旨第二点は、憲法第三八条第三項を引用するが、もし補強証拠はそれ

のみで犯罪事実全部を肯定し得る程度の証明力を持つものでなければならないとい

う抽象論であるならば、その然らざることは当裁判所判例の繰返し明示するところ

であるし、(昭和二三年(れ)第二五九号事件同年六月一旦言渡第三小法廷判決、

昭和二二年(れ)第一五三号事件昭和二三年六月九日言渡大法廷判決、昭和二三年

(れ)第九四七号事件同年一〇月二一日言渡第一小法廷判決、昭和二三年(れ)第

七八六号事件同年一二月七日言渡第三小法廷判決参照)もしまた、補強証拠は犯罪

事実の一部についてのものでもよいが、その部分については充分の証明力のあるも

のでなくてはならず、原判決挙示の傍証にはそういう証明力がないという具体的主

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張であるならば、それは原審の採証判断に対する非難にほかならず、いづれにせよ

上告の理由にならない。

よつて、刑事訴訟法第四〇八条第一八一条第一項により主文のとおり判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

昭和二五年二月七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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