大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)1902 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人小室薫の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

弁護人小室薫上告趣意第一点について。

しかし所論丸釘二樽の買受事実は原判決挙示の証拠により証明し得るものである。

そして該二樽の買受代金が公定価格を超過することが少額であるとしても、犯罪を

構成しないとはいい得ない。論旨は独自の見解を立てて原審の証拠判断を非難し且

つ原判決にそわない主張をするにすぎない。論旨は理由がない。

同第二点同第四点について。

論旨は被告人A森林組合連合会所属組合に対し判示物資の買受斡旋をしただけで

あつて買受人ではない。判示物資の買受人は右連合会の所属組合であるから本件の

主犯は所属組合であつて、右連合会の資材課長Bの為した行為は従犯であると主張

する。しかし、原判決挙示の証拠によれば原判決の事実認定は何等法則に反すると

ころはないばかりでなく、所論は結局原審の事実誤認を主張することに当り上告適

法の理由とならない。

同第三点について。

しかし被告人A森林組合連合会の資材課長Bと右連合会の所属組合以外の者との

判示取引は、B個人の業務として為したものではなく、Bは右連合会の資材課長の

資格で右連合会の業務として、而かも反覆して取引をしたものである以上、所属組

合以外の者との取引は右連合会の定款に定めがないとしても、右連合会の業務に関

して為したるものでないとはいい得ない。従つて、右Bの判示行為について、右連

合会が責を負わなければならないこと当然であるから、論旨は理由がない。

同第五点について。

- 1 -

しかし被告人側から請求した証人訊問を採用すべきか否かは事実審たる原審にお

いて自由に決し得べきところであり且つ所論証人申請を却下したことについては何

等違法はない。論旨は理由がない。

同第六点について。

所論公判調書を調べて見るに明らかに「被告連合会代表者Cは公判廷で身体の拘

束を受けなかつた」と記載されている。論旨はこの記載を無視するものであるから

理由がない。

よつて旧刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 田中巳代治関与

昭和二四年一一月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!