大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2128 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大貫大八の上告趣意は、末尾に添えた書面記載の通りである。

弁護人は、論旨において、被害者A方は氷屋であつて被告人はふだん気易く同人

方に出入し、同家奥の間は氷水を飲むときにも便所に行くときにも通つたりしてい

たので、被告人が奥の間に這入るについては右Aの承諾を予想していたのであると

主張する。しかし、右のような事柄について承諾が予想されるからといつて、直ち

に強姦の目的で侵入することの承諾までが予想されるものと推論し得ないことはい

うまでもない。現に、原判決が証拠として挙げているAの供述によれば、同女はそ

れを承諾するどころか反つてそれを拒否したのであることが明らかである。すでに、

Aにおいて被告人の右奥の間における強姦の行為の承諾が予想されない以上、同女

が被告人に対して退去を要求したと否とにかゝわらず被告人が同女の意志に反して

奥の間に入つたものということができるのであるから、原判決が所論の証拠から原

判示の住居侵入の事実を認定したことについては所論のような違法はない。論旨は、

結局証拠についての独自の見解から原審の事誤認を主張するに帰するので採用する

ことができない。

よつて、上告を理由ないものと認め、旧訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決

する

以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

検察官 田中已代治関与

昭和二四年一二月一三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

- 1 -

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!