大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2226 判決

主 文

本件再上告を棄却する。

理 由

弁護人林頼三郎同樫田忠美の上告趣意は、末尾に添えた別紙記載の通りであつて、

その論旨を要約すれば、旧刑訴法事件についても事実誤認および量刑不当につき最

高裁判所の判断を受け得ることが憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の

裁判を受ける権利であるから、その道をふさいだ刑訴応急措置法第一三条第二項お

よび第一七条は違憲であり、また昭和二三年一二月三一日までに起訴された事件は

旧刑訴法によると定めた刑訴法施行法第二条の規定が新刑訴法第四一一条の場合を

例外としないならば、これまた右の憲法規定に違反する、という前提のもとに、論

旨第一点において、原判決の事実誤認を非難し、第二点において、仮に然らずとす

るも量刑不当なりと攻撃し、原判決は新刑訴法第四一一条の精神に従つて破棄ぜら

るべきものだ、と主張するのである。

しかしながら、憲法第三七条第一項の「公平な裁判所の裁判」というのは、構成

その他において偏頗のおそれのない裁判所の裁判という意味であることは、当裁判

所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法

廷判決等)。また論旨が最も力を注ぐ刑訴法施行法第二条違憲論については当裁判

所に反対の判例があり(昭和二三年(れ)第一五七七号同二四年五月一八日大法廷

判決)、さらに刑訴応急措置法第一三条第二項が憲法違反でないことも、当裁判所

の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇日大法

廷判決等)。論旨はこれらの判例が改められねばならぬと論争するのであるが、こ

れら諸判決と上告論旨とを対照して見ても、繰返され来つた判例を変更すべき理由

を見出し得ない。また刑訴応急措置法一七条については、それが違憲でない旨の直

接の判例は存しないけれども、実質上憲法違反の主張をしていない再上告は適法な

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再上告でない、という判例があるのであつて(昭和二三年(れ)第二一〇号同年七

月二九日大法廷判決)、同条の合憲性が認められたものと言い得る。なお論旨は憲

法第九七条および第九八条第一項をも引用しているが、右は前記憲法第三七条違反

論の理由附けとして、これらの条文に「明定せられて居ることに徴し」と言つてい

るだけであつて、両条文の違反を主張するものでない。要するに、前掲諸判例が変

更せらるべきものでないとする以上論旨は結局事実誤認と量刑不当とを主張するに

過ぎないこととなり、再上告の適法な理由にならない。

よつて旧刑訴法第四四六条に従い、主文の通り判決する。

以上は当法廷裁判官全員一致の意見である。

検察官 竹原精太郎関与

昭和二五年一月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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