大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2361 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一の上告趣意書は、末尾に添えた別紙の通りである。

(一)論旨第一点は、被告人は第一審相被告人Aらに強要されてやむを得ず随行

したのであるから、原審がこれを強盗の共同正犯と判断したのは採証の法則に違背

する、と非難する。なるほど原審公判廷における被告人の供述中論旨の引用した部

分によれば被告人が他の共犯者らから意気地がないとか義理人情を知らぬとか言わ

れたため途中同人らから別れて帰ることもできずに随行した事情は所論の通りであ

るが、供述のその後の部分によれば、被害者の家の近くまで来て共犯者Bから強盗

をすることを打明けられてから後は、被告人もまた、同人らと共に被害者方の屋内

に侵入した上、被告人自ら同家の主人と子供を縛り、おどし文句は言わなかつたが

日本刀を抜身のまゝで手にさげており、またたんすのひきだしから衣類を取り出す

など、強盗の実行行為を分担しているのであつて、原判決の挙げた各証拠により共

謀による強盗の事実が充分に認定され得るのであるから、論旨は結局原判決の事実

認定に対する攻撃にほかならず、上告の適法な理由にならない。

(二)論旨第二点は、旧刑法と現行刑法の規定の対照上、現行刑法の強盗罪には

住居侵入の行為が包含されているものと、原判決が本件につき強盗罪のほかに住居

侵入罪の成立を認めたことを擬律錯誤の違法なりと非難する。しかし、現行刑法に

おいても、住居侵入罪と強盗罪とはその被害法益および犯罪の構成要件を異にし、

住居侵入の行為は強盗罪の要素に属せず別個独立の行為であり、しかも通常右両罪

の間には手段結果の関係のあることが認められるから、原判決が右両罪を刑法第五

四条第一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当であつて、論旨は理由が

ない。(昭和二三年(れ)第一四二九号同年一二月二四日最高裁判所第三小法廷判

- 1 -

決参照)

よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従い、主文の通り判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二四年一一月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!