最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2486 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人小林正の上告趣意第一点について。
しかし被害者A、Bに対する鳥羽警察署長代理の各変死者検視調書、医師Cの各
死亡診断書等には、これ等被害者の死因が何れもメチールアルコールの中毒である
旨記載されているから、これによつて死因の証明は充分である。原判決はこれ等の
記載を証拠として被害者等の死因がメタノール中毒であることを認定したのである。
従つて原審が、判示アルコールのフーゼル含有銀を検査せず、被害者等の被害者の
死因がフーゼル中毒ではないかということを取調べなかつたからとて、これを以て
所論のように審理不尽の違法あるものということはできない。論旨は理由がない。
同第二点について。
しかし原判決に示されているように、判示のような出所不明確なアルコールを他
に飲用として販売譲渡するについては、信頼すべき確実な方法によつてその成分を
検査し、飲用に供して差支えないかを一応確かめた上、飲用者の生命身体に不測の
危害を起さしめないように注意すべき義務があるにも拘わらず、被告人はこのよう
な注意義務を怠つた結果、右のアルコールに判示分量のメタノールを含有している
ことを認識せず、これを飲用として他人に販売し、これを飲用した者を死亡するに
至らしめたのであるから、被告人に過失の責任ありとした原判決の判断は正当であ
つて、所論のような違法はない。論旨は理由がない。
同第三点について。
原判決は、Bが被告人から買取つたアルコールを飲用したためにメタノール中毒
によつて死亡したものであることを認定したのであるが、同人の死因がそうである
ことは、原判決が証拠として採用しているDに対する検事聴取書中の同人の供述記
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載及びその他の証拠を綜合して推断できる。それ故に原判決には所論のような違法
はなく論旨は理由がない。
以上の理由により旧刑訴第四四六条に従い主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官 茂見義勝関与
昭和二五年二月二八日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 穂 積 重 遠
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