大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)282 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人伊東長一郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

上告論旨第一点について。

按ずるに他人を欺罔してこれを錯誤に陥らしめ、其錯誤に基いて財物を交付せし

めれば、詐欺罪の成立することは所論の通りであるが、詐欺罪の成立を認定すべき

証拠の取捨に関しては、旧刑事訴訟法に特別の規定はなく、他の犯罪と同様裁判官

の自由心証にまかせてあるから、いやしくも法律の規定に反しない限り如何なる証

拠によつて事実を認定すべきかは事実審なる原審の自由に決し得べきところである

といわなければならない。従つて被害者が錯誤に陥つた精神状態の認定をなすには

必ず被害者の供述又は他の証拠によらなければならないという理由はなく、加害者

たる被告人の供述其他の証拠によつてこれを認定したとしても採証法則に違背する

ものではない。そして原判決挙示の証拠によれば、判示事実を認め得るものである

から、虚無の証拠によつて事実を認定したという論旨は採用しがたい。論旨は理由

がない。

よつて旧刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 長谷川瀏関与

昭和二四年五月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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