大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)488 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岸達也の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである。

第一点について。

原審公判調書における所論挿入の額の欄外には「一行挿入」と記載あり、右挿入

の部分には裁判所書記の印が押してある、其故欄外に挿入の字数を記さず「一行挿

入」と記したことだけが旧刑事訴訟法第七二条所定の方式と異るのである。しかし

て挿入削除の方式が旧刑事訴訟法第七二条所定の方式に合して居なくても、その挿

入削除が筆跡其他から権限ある裁判所書記によつてなされたものと認められるとき

はこれを無効とすべきものでないこと当裁判所の判例とする処である(昭和二三年

(れ)第一一三号同年五月一日言渡判決)(昭和二三年(れ)第一三八七号同二四

年二月一〇日言渡判決)。本件の場合所論挿入が所論調書作成と同一書記によつて

為されたこと筆跡墨色等によつて十分認められるから右挿入は有効のものというべ

く従つて所論回答書は原審公判廷で適法に証拠調手続を経たものと認むべきである、

其故論旨は理由がない。

第二点について。

原判決が所論司法警察官代理の聴取書の記載を摘録するにあたり二二年を二三年

と誤記したものであること原判決全文を通読すれば明白である、論旨は理由がない。

第三点について。

原審挙示の証拠によれば原審認定の事実を認めることが出来る、原判決が「被告

人が候補者Aから選挙に関し選挙運動の報酬として響応を受けた」という事実を否

定し無罪としたからといつて、これによつて所論の様に「被告人Bが本件選挙に関

与したことは本件より抹滅し去られた」ものとはいえない。又衆議院議員選挙法第

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一一五条の罪は犯人が選挙権を有する者であることを要件とするものではない、其

故被告人が所論の様に選挙権を有しなかつたとしても本罪の成立に影響はない、論

旨は畢竟原審の採らなかつた証拠を基礎として原審の事実認定を批難するものであ

る、採用に価しない。

よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従つて主文の如く判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

検察官 竹原精太郎関与

昭和二四年七月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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