大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)848 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人根本仙三郎上告趣意第一点について。

記録によると、被告人は、原判決一乃至四の詐欺罪についてはその罪がいまだ官

に発覚しない前に自首した事実が認められること所論の通りである。

しかし、自首によりその刑を減軽するかしないかは、刑法第四二条によつて裁判

所の自由裁量に任されているのであるから、原審がその減軽をしなかつたことを目

して違法であると言うことはできない。されば、原判決には所論のような違法はな

く論旨は理由がない。

同第二点について。

原審公判調書によると、原審は、被告人の本件犯行につき動機その他の事情を一

通り調べている。すなわち、被告人は原審公判廷で家庭の事情、特に金がいるよう

な事情があつて本件犯罪を犯したのではないこと、入手した金銭は旅費等に費つた

こと等を述べて、家出したのはかつて天狗熱に罹つたことがあり夏の暑さに会うと

悪いことをしたり家を飛び出したりすると言つている。そして、被告人の人物、性

格等については裁判官が法廷で被告人に接することによつても又犯罪行為自体によ

つても或る程度の心証が得られるのであるから、これらの事情をいかなる限度に取

り調ぶべきかは事実審の自由裁量に任されているのである。されば、原審がその公

判調書に記載されている程度に本件について取調をしている以上、審理不尽による

違法はないのであるから、論旨は理由がない。

同第三点について。

原審の認定した被告人の本件犯罪は、五つの詐欺罪と一つの窃盗とであつて、そ

の犯罪の態様から見ても、必ずしも弁護人の主張するように原審の科刑が非常に苛

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酷の刑であると言うことはできない。そして「事実審の裁判官が普通の刑を法律に

おいて許された範囲内で量定した場合において、それが被告人の側から観て過重の

刑であるとしても、憲法にいわゆる残虐な刑罰と呼ぶことはできない」と言うこと

は当裁判所の判例とするところであるから、原判決は所論のように憲法の精神に反

するものではない(昭和二二年(れ)第三二三号、昭和二三年六月三〇日大法廷判

決)。論旨は結局原審の量刑が不当であると非難するに帰するので、上告の適法な

理由ではないから採用することはできない。

よつて、旧刑訴法第四四六条に従い主文の通り判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長谷川劉関与

昭和二四年六月七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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