最高裁判所第三小法廷 昭和24(オ)221 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
本件上告理由は、末尾に添えた書面記載のとおりである。
上告理由第一点について、
昭和二一年法律第四三号自作農創設特別措置法附則第二項によれば、市町村農地
委員会は、右法律による農地の買収計画を定めるにあたり、相当と認めるときは右
法律の施行前たる昭和二〇年一一月二三日(以下指定期日というに)遡り、同日現
在における事実に基いてその計画を定めることができることゝなつている。この規
定の趣旨とするところは、前記指定期日の前日において農地改革を行うことが閣議
で決定されたため、農地改革に関する法律の施行に先ち、農地の所有者が農地の買
収を免かれようとして、或は小作地を取り上げ、或は在村地主となるために住所を
変更したり所有者の名義を在村者に変更する等いろいろの方策を講じ、これがため
に農地改革の目的が阻害される虞があつたので、かゝる方策を実益なからしめるた
めに前記指定期日現在の事実に基く農地買収計画を認めたのである。ところで、本
件について原審の確定した事実によれば、上告人は、本件農地につき買収計画の定
められた時期においては右農地の所有者であつたが、昭和二〇年一一月二三日の指
定期日においては所有者ではなく、当時においては右農地は農地所在地区外に居住
していたDの所有に属していたのであつて、かゝる場合は特別の事情のない限り一
応前記特別措置法附則第二項に規定する指定期日現在における事実に基いて買収計
画を定めることを相当とするときに当るものと認めることができる。それゆえ、原
判決において、仙台市E地区農地委員会が前記特別措置法附則第二項の規定により
本件農地につき買収計画を定めたことを是認し「他に右遡及買収を不当とする特別
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の事由の認められない本件においては右買収計画は相当といわけなればならない」
と説明しているのは、もとより正当であつて原判決には所論のような判断遺脱若し
くは理由不備の違法はない。
よつて、本件上告を理由ないものと認め、民訴法第四〇一条第九五条第八九条に
従い主文のとおり判決する。
以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。
最高裁判所第三小法廷
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 穂 積 重 遠
裁判長裁判官長谷川太一郎は差支えにつき署名押印することができない。
裁判官 井 上 登
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