大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)11 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人富田博の上告趣意について。

物価統制令第三条違反の行為があつた後に同令に基き価格等の統制額を指定した

告示が廃止されても旧刑訴三六三条にいわゆる「犯罪後の法令に因り刑の廃止あり

たるとき」に該当しないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第八〇〇号、

同二五年一〇月一一日大法廷判決)の示すとおりである。論旨はこのような告示の

廃止があつた場合には刑の廃止があつたものとする解釈を前提として、原判決が免

訴の言渡をしなかつたことは憲法三一条の精神に反すると主張するのであるが、そ

の前提たる解釈が誤つていること右の判例に照らして明らかであるから、その主張

も亦成り立たない。

論旨はまた原判決は命令たる物価統制令を法律に優先させる点におそ憲法三一条

の精神に反すると主張するけれども、問題は所論告示の廃止が刑訴三三七条二号に

いわゆる「刑の廃止」にあたるか否かの解釈如何にかかる。この場合が「刑の廃止」

にあたらないとすれば、刑訴の右の規定がおのずから適用なく、物価統制令によつ

て処罰が行われるのは当然のことであつて、命令によつて法律が排除されるのでは

ない。従つてこの法理は物価統制令が命令であると法律であるとにかかわりないこ

とである。原判決は命令を以て法律を破るものであるとの前提に立つ憲法違反の論

旨は、その前提が誤つているから、結論も亦おのずから成り立たない。

次ぎに論旨は原判決の量刑不当を主張しているけれども、かような主張は適法な

上告理由となり得ないものである。

以上のように論旨には刑訴四〇五条に定める上告の理由がないこと明かであるの

みならず、本件には刑訴四一一条を適用すべき事由も認められないから、刑訴四〇

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八条に従い主文のとおり判決する。

この判決は、価格を指定した告示の廃止の効果に関する裁判官井上登の反対意見

を除く外、裁判官全員一致の意見によるものである。井上裁判官の右反対意見は前

記大法廷判決に附した意見のとおりである。

昭和二六年一月一六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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