大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1329 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A弁護人阪口実の上告趣意について。

事実審たる裁判所は、諸般の事情を考慮して犯人に適切妥当な刑罰を量定するの

であるから、犯状の或る面において他の犯人に類似した犯人であつても、これより

重く処罰せられることのあるのは理の当然であり、また被告人に対して刑の執行猶

予を言渡すか否かも同一の理由によつて裁判所の自由裁量権に属することであるか

ら、共犯者中の或る犯人に対し他の共犯者よりも重く実刑を科したからとて、憲法

一三条一四条等に違反するものでないことは、すでに当裁判所大法廷判決の示すと

おりである(昭和二二年(れ)二〇一号同二三年三月二四日判決、昭和二三年(れ)

七〇号同年五月二六日判決、昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日判決)。さ

れば、原審が被告人Aに対し懲役一年の実刑を科した第一審判決を是認したことを

目して違憲であると主張する論旨は理由がない。

被告人B弁護人小林半四郎の上告趣意について。

論旨第一点は、憲法の諸規定を引用しているが、原判決が如何なる趣旨において

所論憲法各条に違反するかの説明がなく、その実質は被告人Bの本件窃盗行為が未

遂罪の段階にあつたことを主張するものに外ならないから刑法上の論議であつて憲

法上の問題ではない。そして、原判決の是認した第一審判決は窃盗既遂罪の事実を

認定していること判文上明らかであるから、論旨は結局事実誤認を攻撃するに帰着

し採用できない。

論旨第二点も、憲法の諸規定を引用しているが、その実質は被告人等の犯情を述

べた上更に第一審において「取下げられた訴因の事実を裁判の資料とした」という

全く臆測に過ぎない事実を前提として第一審の量刑不当を主張するものであるから

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憲法上の問題ではない。そして、このような主張はもとより刑訴四〇五条所定の事

由ではないので採用できない。

なお、本件は刑訴四一一条を適用すべき場合でもない。

よつて、刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致した意見により主文のとおり判決

する。

昭和二六年八月九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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