大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)2042 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人菊地養之輔の上告趣意について。

被告人の自由によつて犯罪事実を認定するには補強証拠を必要とするが、その補

強証拠は自白が架空のものでないことを裏書きするものであれば足りるのであつて、

犯罪事実の全部に亘ることを要するものではない。犯罪事実の一部分の認定に対す

る証拠は被告人の自白以外にはないとしても、これをもつて、判示事実を被告人の

自白のみによつて認定したものということを得ないことは当裁判所大法廷判決の示

すとおりである(昭和二二年(れ)一五三号同二三年六月九日判決)。本件におい

て原判決の引用する第一審判決の証拠説明によれば、所論横領の事実を認定する証

拠としては、被告人の自白の外に被告人が判示日時頃Aから金三二五〇円を受領し

て保管した事実を窺うことのできるAの司法警察員に対する供述調書をも挙げてい

るので、原判決の引用する第一審判決は被告人の自白のみによつて有罪とした趣旨

ではない。されば、所論憲法三八条三項違反の主張は、その前提となる事実を欠く

てとによつて問題とならない。

よつて、刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致した意見により主文のとおり判決

する。

昭和二六年八月九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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