大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)3299 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人神道寛次上告趣意は末尾添附別紙記載のとおりである。

論旨第一点について。

原判決認定のように昭和二三年一二月一八日発表の日本経済安定のためワシント

ン政府の指図による連合軍総司令官の日本政府に対するいわゆる経済九原則の指令

の中には収税計画を促進強化し脱税者に対しては迅速且広範囲にわたつて徹底的刑

事訴追措置をとることの一項目があり、政府が此の線にそうて施策を進めるにつれ、

之に対し昭和二四年三月頃には全国各地にいわゆる反税運動として多数の者が陳情

のため税務官署に押しかけた事例があつたが、原判決は斯様な政治情勢の下にあつ

て、被告人の判示日時頃判示場所においてA民主化同盟員等と共に税務署長に対し、

(1)再審査請求したものについてはすべて実地調査をせよ、(2)大口脱税につ

いては民主化同盟と共同調査せよ、その他数項目に亘つて要求した行動を、昭和二

二年勅令第一号にいう「政治上の活動」に該当すると判断したものであり、その判

断は正当であつて、原判決は所論のように判例に相反する判断をしたものでは無い

から、論旨は理由が無い。

なお所論中、被告人の活動は元来所得税法上の正当な行為であり、これを団体行

動として為したとするも、それは憲法第二八条によつて保障された正当な行為であ

ると主張するが、憲法第二八条は企業者対勤労者すなわち使用者対被使用者という

ような関係に立つものの間において経済上の弱者である勤労者のために団結権乃至

団体行動権を保障したもので、勤労者以外の団体又は個人の單なる集合に過ぎない

ものに対してまで団結権乃至団体行動権を保障したものではないと為すことは現に

当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第三四〇号昭和二五年九月二七日大法廷判決参

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照)とするところであつて、本件の如き場合が憲法二八条により保障せらるゝもの

であると主張する論旨の理由がないことは明らかであつて、論旨は理由がない。

同第二点について。

論旨は刑訴四〇五条に規定する場合に該当しない。また記録を調査しても同四一

一条を適用すべきものとは認めがたい。

よつて刑訴法四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二六年七月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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