大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)495 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人本人の上告趣意及び弁護人中村武の上告趣意について。

上告の申立は、刑訴四〇五条に定めてある事由があることを理由とするときに限

りなすことができるものである。同四一一条は、上告甲立の理由を定めたものでは

なく、同四〇五条各号に規定する事由がない場合であつても、上告裁判所が原判決

を破棄しなければ著しく正義に反すると認めた場合に職権をもつて原判決を破棄し

得る事由を定めたものである。しかるに論旨いずれの点も明らかに刑訴四〇五条に

定める事由に該当しない。(尤も中村弁護人の上告趣意第一点には、本件のように

物価統制撤廃の直前に行われた統制法違反の行為につき限時法の理論によつて刑法

六条及び刑訴三三七条の規定の適用を排除する裁判は、憲法三七条に違反し公正な

裁判ということができないと主張している。しかし本件の物価統制令違反が行われ

たのは昭和二四年八月二日、原判決が言渡されたのは同二五年一月二四日、右の犯

罪に適用された昭和二三年七月二三日物価庁告示五一四号の廃止により魚類の価格

統制が撤廃されたのは昭和二五年四月一日であつて、原判決の当時は価格の統制が

なお存在し、従つて原判決は限時法の理論によつて処断したのではないから、所論

は原判決が憲法に違反したことを非難するのではなく、当番でなされるべき裁判に

対する警告に過ぎない。それ故所論は刑訴四〇五条に定める事由に該当しないのみ

ならず憲法三七条一項に「公平な裁判所の裁判」というのは、構成その他において

偏頗の惧れなき裁判所の裁判という意味であること、当裁判所の判例ー昭和二二年

(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決ーの示すとおりであるから、所論は

到底採用できない)また本件には刑訴四一一条を適用すべきものとも認められない。

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よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条に従い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年一月一六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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