大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)536 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人橋本順並に同志貴三示の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

弁護人橋本順上告趣意第一点について。

判決作成に関与しない判事が判決の言渡に関与しても違法でないことは、当裁判

所数次の判例の示すところであるし、判決作成の日附と、言渡期日が同一であつて

も、判決作成に関与した判事が出席できない場合はあり得ることであるから、判決

に署名した判事と言渡期日に出席した判事が同一でないからとて、原判決の記載が

虚構であるとはいえない。従つて所論違憲違法の主張はその前提を欠くこととなり、

採用するを得ない。

同第二点について。

論旨は名を憲法違反に籍り第一審並に原審の訴訟手続違背を主張するものである

から、上告適法の理由とならない。

同第三点第四点第五点について。

論旨は結局原審の訴訟手続違背と事実誤認を主張することに当るから、上告適法

の理由とならない。

同第六点について。

原判決は、本件賍物は所論のように、被告人の妻がAから預かり、被告人は同人

の妻から預つたと認定したものでないことは記録上明らかであるばかりでなく所論

は刑訴四〇五条に規定する事由に当らないから上告適法の理由とならない。

弁護人志貴三示上告趣意第一点について。

原判決は、被告人の妻の兄は、被告人方に同居していたものでないと判示してい

- 1 -

ることは記録上明白である。従つて被告人の妻の兄が被告人方に同居していたこと

を前提とする論旨は当を得ないばかりでなく、刑訴四〇五条に規定している事由に

当らないから上告適法の理由とならない。

同第二点について。

被告人に実刑を科した為め、その家族が生活困難に陥るとしても、その為め憲法

第二五条に違反するものでないことは当裁判所の判例とするところであるから、論

旨は理由がない。(昭和二二年(れ)第一〇五号同二三年四月七日大法廷判決参照)

よつて刑訴第四〇八条同第一八一条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

昭和二五年一二月一二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!