大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)100 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人高橋正平の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

被告人が原審公判において従前の供述は強要によるものであるとか、或はその影

響下においてなされたものであると弁解したとしても、事実審たる原審においては

諸般の事情にてらし自由なる心証によつて真否を判断すればよいのであつて必ずし

もその点について特段の審理手続をしなければならないものではない。そして原審

においては被告人の所論弁解を措信しなかつたことは原判決の証拠説明に徴し明ら

かであつて所論のような審理不尽もしくは経験則違反の違法はない。論旨は結局原

審の採用せざる証拠を根拠として原審と異つた見解を立て原判決の違法を主張する

ことに帰するから採用することを得ない。

第二点について。

記録を調べて見るに、所論被告人の自首以前に被告人を容疑者として指名手配を

したことが認められるから刑法第四二条第一項に規定する、罪を犯し未だ官に発覚

せざる前自首したものに該当しない従つて未だ官に発覚しない前に自首があつたこ

とを前提とする論旨は当を得ない。なお自首の主張は旧刑訴第三六〇条第二項に所

謂刑の加重減免の事由たる事実上の主張に当らないことは当裁判所の判例とすると

ころであるされば原判決が所論の主張に対し判断を示さないとしても所論のような

違法はない。(昭和二三年(れ)第一一六九号同二三年一二月二四日第三小法廷判

決参照)

第三点について。

所論第一審第一回公判における被告人の供述が強要による虚偽の自供を基として

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なされたものであること並にAに対する検事聴取書が強要によるものであると認む

べき根拠はないし、Bに対する検事聴取書が何等本件に関係がないともいえないか

ら原審においてこれ等を証拠に採用したことについては何等法則に違背するところ

はない。なお論旨は被告人に有利な証拠を採用しないことを非難するが証拠の取捨

選択は事実審の自由にまかせられているところであるし、原審において所論の証拠

を採用しない点について何等法則違背は認められないから論旨は理由がない。

第四点について。

被告人に対し酌量減軽又は刑の執行猶予を為すべきか否かは事実審の自由裁量に

まかせられているところである。そして執行猶予又は酌量減軽をしなかつた場合に

おいて、その理由を判示する必要のないことは当裁判所数次の判例の示すところで

ある、そして記録を調べて見るに被告人に対し酌量減軽又は執行猶予にしなかつた

事が実験則に反すると認むべき点はない。論旨は理由がない。

第五点について。

しかし所論刑事訴訟規則施行規則第三条三号は憲法第七七条に違反しないことは

当裁判所の判例とするところであるからこれを憲法第七七条に違反する無効のもの

であることを前提とする論旨は採用できない。(昭和二四年(れ)第二一二七号同

二五年一〇月二五日大法廷判決参照)

よつて旧刑訴第四四六条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 橋本乾三関与

昭和二五年一二月一二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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