大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1110 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人池田久の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである。

論旨第一点に対する判断。

検事が起訴して居ない事実について裁判所が釈明を求めたりなどする必要が無い

こと勿論である。又法の改正によつて改正前の犯行と改正後の犯行との間にその取

扱について差異があり得ることは当然であり、改正後の方が不利益になることが有

り得ることもいうを俟たない、刑訴施行法第二条が違憲でないことは既に当裁判所

大法廷の判例とする処で(昭和二三年(れ)第一五七七号事件同二四年五月一八日

大法廷判決)あり論旨は理由がない。

同第二点に対する判断。

如何なる証拠を調べるかは事実審たる原審の裁量に委せられて居る処であるから

原審が所論証拠の証拠調をしたとしても違法ではない、(所論証拠は証拠能力のあ

るものであるから、たとえそれが所論の様に本件犯罪に関係がないものであるとし

ても、それ故に直ちにその証拠調を違法のものとすることは出来ない)論旨は理由

がない。

同第三点に対する判断。

「他の証拠によつて犯罪が現実に行われた客観的事実が裏書されて自白が架空の

ものでないことが確められる限り、たとえ犯罪事実の一部分の証拠が被告人の自白

だけであつても差支ないこと当裁判所昭和二三年(れ)第一四二六号同二四年一月

五日大法廷判決の判示する処である、それ故所論の如く「Aが本件土地を他に売買

する等のことを依頼したことがない」事実の傍証がなくても憲法及刑訴応急措置法

の規定に違反する処はない、論旨は理由がない。

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なお被告人は上告状中に原判決は審理を尽さず認定を誤つて居る旨、主張して居

るが原審は審理しなければならないことは総て審理して居るし、事実誤認の主張は

上告の理由とならない。

よつて旧刑訴四四六条に従つて主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 十藏寺宗雄関与

昭和二六年二月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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