大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1217 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人渡辺一男の上告趣意第一点について。

原判決の原本を見ると、所論の箇所に「転出書証」の「書」の字が抹消されてい

ながら、原審裁判官の認印の押捺もなく、「何字削除」という記載もないこと、所

論のとおりである。しかしかような瑕疵があるからとて原判決を当然無効とすべき

規定もなく、又原判決が真正に成立したものであることを疑わしめるような形跡も

ない。右の抹消は判決作成者によつて正当になされたもので、削除に関する所定の

手続がなされていないのは、単なる遺脱と認められるから、これを以て原判決を破

棄する理由とならないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一二九六号同

年一二月一八日第二小法廷判決、昭和二三年(れ)第三九七号同年七月二九日大法

廷判決)の趣旨に徴して明かである。よつて論旨は採用することができない。

同第二点について。

記録によれば、原審裁判長は昭和二四年六月二四日の公判廷で次回公判期日を同

年八月二九日午前一〇時と指定し訴訟関係人に告知し出頭を命じたがその後同年七

月一日に到り法廷外で職権により右期日を変更し次回公判期日は追つて指定する旨

の命令をしたこと並に右変更命令は当事者に通告された形跡のないこと即ち右命令

謄本が当事者に送達された形跡のないことは所論のとおりである。しかし原審裁判

長は、その後あらためて、昭和二五年二月八日を公判期日に指定し被告人弁護人に

同期日に対する召喚状を送達し、同日第二回公判を開廷し、次回期日を同年三月二

四日と指定告知し同年三月二四日第三回公判を開廷し、事実審理を行い、弁論を終

結し、同年四月五日の第四回公判廷で判決言渡をしているのであるから、原判決は

適法に被告人弁護人を召喚し、その出頭のもとに適法に行われた公判手続に基いて

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言渡されたものである。そうだとすれば前記昭和二四年八月二九日の公判期日変更

命令が当事者に告知されなかつた違法があつたとしても、その違法は、何等原判決

に影響を及ぼすものではないから、原判決破棄の理由とはならない。論旨は採用す

ることができない。

右の理由により旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 橋本乾三関与

昭和二五年一二月五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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