大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1336 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの上告趣意について。

論旨は原判決の事実誤認及び量刑不当を主張するに外ならないから適法な上告理

由とならない。

被告人B産業株式会社、同C、同D及び同Eの弁護人安藤・彦の上告趣意第一点

について。

仮りに所論のように警察官が被告人等に対して不法勾留、監禁その他違法の措置

をしたとしても、その後の手続がすべて違法となるという理由はない。殊に原判決

は被告人等に対する警察官の訊問調書又は聴取書等を証拠として採用してはいない

のであるから、警察における不法な措置は原判決を違法とする理由とはならない。

(昭和二二年(れ)第三三四号同二三年六月九日最高裁判所大法廷判決参照)記録

を調べてみると、原判決が証拠として採用したものの中、被告人D及び同Eに対す

る検察事務官の聴取書が作成された時には右両被告人は拘禁されてはない(所論の

ように両被告人が金沢市内の旅館に十数日監禁されて取調を受けたという証跡は認

められない)。被告人Cに対する検事の訊問調書は同人を適法に逮捕した後作成さ

れたものである。(金沢地方裁判所判事山田義盛発行の昭和二二年七月二九日附逮

捕状により同年八月一日午后一〇時二〇分逮捕、同年八月三日午后四時玉川警察署

長より金沢地方検察庁に身柄附事件送致、同年八月四日検事の訊問調書作成、同日

強制処分(勾留)請求、金沢地方裁判所判事澤田哲夫の同日附勾留状により同日午

後五時二〇分執行)。そうして右検事の訊問調書及び検察事務官の聴取書中の被告

人等の供述を強制に基く自白と認めるべき証跡はないのであるから、原判決がこれ

等の供述記載を証拠として採用したことには、所論のような違法はない。

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論旨は、原判決が右の調書等のみで判示行為を被告会社の業務行為と認定したこ

とを非難しているけれども、本人の自白には犯罪事実の全部に亘つてその補強証拠

を必要とするものではない(昭和二二年(れ)第一五三号同二三年六月九日最高裁

判所大法廷判決参照)から、会社の業務行為であるか否かというような犯罪の一部

分について本人の、自白のみでこれを認定したからとて違法ではない。のみならず

本件の場合には、三名の共同被告人がそれぞれ会社の業務行為であることを供述し

ているのであるから、それ等は相互に補強証拠となつているのである。(昭和二三

年第一一二号同年七月一四日最高裁判所大法廷判決参照)。それ故原判決には所論

のような違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点について。

一、原判決がその挙示の証拠によつて判示行為を被告会社の業務行為と認定した

ことについて所論のような違法がないことは前記のとおりである。

二、被告人等に犯意のあつたことは原判決挙示の証拠によつて認め得られること

である。論旨は結局事実誤認の主張に帰し上告適法の理由とならない。

被告人Fの弁護人増田疇彦の上告趣意について。

論旨は被告人が判示P・Dを真正有効のものと信じていたということを前提とし

て被告人には犯意がなかつたと主張するのであるが、原判決をその挙示の証拠と照

らし合わせてみると、被告人に少くとも未必の故意のあつたことがわかる。それ故

に論旨は結局原判決の事実認定を非難することに帰し適法な上告理由とならない。

以上の理由により旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 竹内壽平関与

昭和六年四月二四日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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