大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1604 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人三浦強一の上告趣意第一点について。

刑法一五五条一項所定の公文書偽造罪は、文書作成の権限のない者が同項の定め

る要件の下に公務所夂は公務員の作るべき文書を作成することによつて成立するも

のであることは言うまでもないところである。本件につき原判決は、被告人が原審

共同被告人Aと共謀の上両名共同して行使の目的で原判示のように広島商工局の署

名印章を使用し公文書であるパラフイン二〇〇〇キログラムの需要割当証明書一通

を偽造した事実を判示しているのである。右の判示によれば、被告人は作成権限の

ないのに拘らず原判示のような形式内容を有する公務所たる広島商工局の作るべき

文書を偽造したことを認めうるのであるから公文書偽造罪の判示事実として欠くる

ところはない。所論のような公務所又は公務員の文書作成権限の有無は、法律問題

であつて事実問題ではないから判決中に証拠説明をすべき事項ではない。されば、

論旨は理由がない。

同第二点について。

本件バラフイン二〇〇〇キログラムの需要割当証明書の偽造は、原審共同被告人

Aにおいて需要割当証明書用紙の主務官庁広島商工局の名下並びに用紙上辺に同局

印を盗用押捺しただけで成立したものではなく、さらに被告人Bにおいて用紙各所

定欄に資材名、数量、発行年月日その他原判示の事項を記入したときに完成したも

のと解すべきである。それゆえ、前記Aの行為だけでは本件公文書の偽造罪は既遂

に達したものではなく、同人と行為を共同した被告人Bの原判示行為によつて右偽

造罪が遂行されたのであるから、原判決には所論のような失当はない。なお、論旨

第一、二点を通じ所論中に違憲の主張があるが、それは被告人の行為が犯罪を構成

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しないことを前提とするものであるから、右前提の採用されないこと前説明のとお

りである以上違憲の問題を生ずる余地がない。

よつて、本件上告を理由ないものと認め旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員の一

致した意見により主文のとおり判決する。

検察官 十藏寺宗雄関与

昭和二六年四月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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