大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1823 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人元林義治の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りである。

論旨第一点に対する判断。

原審第一回公判調書によると、被告人は、裁判長から、検事の被告人に対する聴

取書第五項を読みきかせられて問われたのに対し、その通りであると答えているの

であり、右聴取書第五項には、Aの頭部をめがけて斧を打ち下したが、大した手答

がなく、同人は中腰に起き上つて組みついてきたので、再び頭部をねらつて斧を打

ち下したが、暗かつたのと、同人が体をかわしたのとで、それが外れ肩に斧の柄が

当つて折れてしまつたという趣旨の供述が記載されているのであるから、被告人は

原審公判廷において、所論の点につき、原判示と同趣旨の供述をしているわけであ

る。従つて原判決の証拠説示には何等所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点に対する判断。

所論第一審証人Bの訊問調書には、Aの傷は前頭部左側の裂創と左肩の擦過傷と

であるが、手当をした結果、一週間位で肉が上り、三週間位で完全治癒したという

趣旨の供述が記載せられているから、原判決が所論受傷の部位、程度の点を右訊問

調書を引用して認定したことにも、何等違法はなく、論旨は採用できない。

同第三点に対する判断。

所論鑑定人Cの鑑定書によれば、被告人が本件犯行当時、心神耗弱と解すべき精

神状態にあつたという原審の認定は、充分これを肯認できるのであつて、所論のよ

うに、心神喪失の状態にあつたものと認めるのでなければ経験則に反するというこ

とはないし、また右鑑定人の第一審公判廷における所論のような供述も、原審の右

のような認定の妨げとなるわけではない。所論は結局、被告人の精神状態に関する

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原審の事実認定を争うことに帰着するから、これを採用することができない。

同第四点に対する判断。

原判決は、被告人は犯行当時心神耗弱の状態にあつたから刑法三九条、六八条二

号によつて減軽すると説示しているのであるから、刑法三九条二項を適用したもの

であることが明白である。従つて原判決の擬律に、所論のような不分明の点はなく、

論旨は理由がない。

同第五点に対する判断。

未遂による減軽はこれを為すと否とは原審の裁量の範囲に属する処であるから原

審がこれをしなかつたからといつて違法ではない。従つて論旨は理由がない。

よつて旧刑訴四四六条に従つて主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員一致の意見によるものである。

検査官 福島幸夫関与

昭和二六年四月三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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