大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1872 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人加藤大謳の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

しかし原判決は、その証拠説明中において、本件紙袋に統制額があることを被告

人等が知つていたことの証拠としてA以外の被告人等の第一審第一回公判調書中の

記載、被告人Aに対する検察事務官の聴取書中の記載を掲げているのであつて、こ

れらの証拠によれば、被告人等がいずれも本件紙袋に統制額のあることを知つてい

たことを肯認できる。従つて論旨は理由がない。

第二点について。

原判決の「物価統制令はいわゆる限時法に属するものであるから犯罪後統制法規

が廃止されても犯罪時の法令によつて処罰すべきものである」というのは被告人等

の犯行当時施行せられていた所論大蔵省告示第五一〇号は犯行後所論物価庁告示を

以て改正され本件物件はその告示から除外されたものではあるが物価統制令第三条

違反の行為があつた後に同令に基き価格等の統制額を指定した主務大臣の告示が廃

止されても旧刑訴三六三条にいわゆる「犯罪後ノ法令ニ因リ刑ノ廃止アリタルトキ」

に当らないという趣旨を説示したものと解し得る、従つて所論のような違法はない。

(原判決は原判決言渡後に言渡された当裁判所昭和二三年(れ)第八〇〇号同二五

年一〇月一一日大法廷判決と同趣旨である)。

第三点について。

所論は結局量刑不当の主張であるから上告適法の理由とならない。

第四点について。

しかし被告人等が本件紙袋に統制額があることを知つていたとの点は、原判決は、

- 1 -

論旨第一点において述べた如く、第一審第一回公判調書及び検察事務官の聴取書を

証拠として認定しているのである。所論証拠説明は、その全体の趣旨からみて、右

紙袋に統制額があることを被告人等が知つていたとの部分は除外して他の部分の供

述のみを証拠とする趣旨で判示されていることは判文上明瞭である。故に論旨は理

由がない。

よつて旧刑訴四四六条により主文の通り判決する。

以上は第二点の限時法の点に関する裁判官井上登の少数意見を除き裁判官全員一

致の意見である。裁判官井上登の右少数意見は前掲大法廷判決に記載の通りである。

検察官 竹内壽平関与

昭和二六年四月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!