最高裁判所第三小法廷 昭和25(オ)123 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人和田珍頼の上告理由は本判決末尾添付のとおりであり、これに対する
当裁判所の判断は次のとおりである。
原審は、上告人が本件家屋に居住するDにおいて未だ明渡の承諾をしていないの
に拘はらず被上告人等先代亡Eに対し、Dは明渡を承諾して居り、自分が責任を以
て明渡させるから、本件家屋を買つて貰らい度いと申入れ、本件売買契約を締結す
るに至つた事実を認定し、且それ故上告人にとつてDが本件家屋を明渡すことが、
右売買契約の要素となつていたとはいわれない旨判断しているのである。
そして、原判決の挙示する証拠によれば、右のような事実を認定し得ないもので
はなく、かかる認定をしたからと云つて経験則に反するものでもない。また、右事
実関係のもとにおいてはたとえ上告人が所論のように、Dも本件家屋買取資金の調
達困難から、終には明渡を承諾して呉れるであろうと期待していたとしても、その
期待は上告人が本件売買契約をするについての単なる動機に止まると解すべく、D
において明渡をすることが本件契約の要素をなすものとは解し得ないから、この点
に関する原審の判断も相当である。
論旨は要するに、独自の見解に立脚して、原審の適法になした前記事実の認定及
び法律上の判断を攻撃するに帰着するから採用の限りでない。
よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
- 1 -
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
- 2 -