大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(オ)157 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人の上告理由は末尾添附別紙記載のとおりである。

しかし、原判決挙示の関係証拠を綜合すると、本件調停成立当時上告人が本件家

屋のD所有に属することを知悉して居たとの原審認定事実を認めるに足りる。所論

甲第一号証その他の資料によつても、必ずしも所論のように認定しなければならな

いものとは謂い得ない。又右資料につき所論のように特に説明を要する場合でもな

い(論旨援用の名古屋高等裁判所判決は本件に適切でない)。以上に関する論旨は

結局原審の適法に為した事実の認定を非難するに帰し上告適法の理由とならない。

又原審は、本件家屋の所有者であるDの長男である被上告人が、其の復員帰還後

住宅に困つた末、父の指示によつて本件家屋の賃借人である上告人に其の明渡を求

め、一旦其の明渡を受ける代りに上告人賃借に係る他の家屋を被上告人名義で所有

者から賃借するを得たけれども、其の後所有者から該家屋の返還を求められ借家調

停の申立を受けるに至つたので該調停に上告人の参加を得、茲に被上告人は賃借家

屋を所有者に返還すると共に上告人から本件家屋の明渡を受けるとの合意を為し同

旨の本件調停が成立したことを認定して居るのであり、右は被上告人が父Dに代つ

て上告人との間の本件家屋賃貸借を解除し自己のために上告人から其の明渡を受け

る権利を有して居たものであることを明かにして居るに外ならない。従つて原判決

に所論の如き違法ありと為し難く、右に関する論旨も理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお

り判決する。

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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