大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)1856 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人及被告人の各上告趣旨はいずれも末尾添附別紙記載のとおりである。

弁護人浅沼澄次の上告趣意について。

所論は刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。

被告人本人の上告趣意について。

被告人の供述中第一審判決において証拠に採用されているものは、「被告人の第

一審公判廷の供述」と、「被告人に対する司法警察員作成の昭和二五年九月二五日

附供述調書の記載」だけであつて、被告人に対する検察官作成の供述調書は採用さ

れていない。而して、第一審の公判調書の記載に徴すれば、その公判手続は新刑訴

法の規定に従つて行われ、弁護人も出頭し、黙否権等の告知もなされており、被告

人が、不利益な供述を強いられた形跡は存しない。また、前示被告人の司法警察員

に対する供述調書については被告人及び弁護人は第一審第二回公判廷で、右書類を

証拠とすることに同意し、証拠調には異議がないと述べたこと明らかであり、第一

審判決挙示の証拠を見ると、補強証拠は十分に備つており、被告人の供述だけで事

実を認定しているものでないことは極めて明瞭である。被告人は昭和二五年九月一

五日勾留状の執行を受け、現に勾留中であるが、前示司法警察員の供述調書は、同

年同月二五日附を以つて作成されているのであつて、また、第一審の公判は同年一

一月一七日、一二月四日、一二月一五日の三回に亘つて行はれ、その結果一二月一

八日判決が宣告されているのである。従つて不当に長い勾留後の自白でないこと自

明であり、被告人の自白が、強要等に因るものであることを疑はしめる証左は存し

ない。なお、第一審第二回公判調書の記載に依つて、両公判廷における証人Aに対

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する尋問の経過を調べてみると、裁判長は所定の手続を経た上、先ず最初に弁護人

に、次に検察官に同証人に対する尋問を促し、それが終つてから裁判官の証人尋問

がなされ、最後に「裁判官は被告人に対し証人を尋問する機会を与へたところ、被

告人は別にないと答へた」ことが判るのである。

以上説示の如く所論憲法違反の主張はいずれも前提を欠くもので理由がなく、そ

の他の所論は刑訴四〇五条所定の上告理由に該当しない。

よつて刑訴四〇八条一八一条に従つて裁判官全員一致の意見により主文のとおり

判決する。

昭和二六年九月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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