大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)2166 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人松藤正憲の上告趣意(後記)第一点乃至第三点について。

所論は、殺意の点に関する事実誤認の主張(第一点)、被告人の行為が正当防衛

行為であつたとの主張(第二点)及び被告人の行為と被害者の死亡との間に因果関

係がないとの主張(第三点)であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたら

ない。また、記録を調査してもこれらの点につき刑訴四一一条を適用すべき事由は

認められない。(なお、第一点に関し、所論司法警察員に対する被告人の供述が強

制等によるものであると解すべき根拠はないし、また第三点に関して、第一審の鑑

定証人A医師は、「本件傷害の程度なら手術手当次第では助かつていると思うか」

との問に対して、「腎臓が破れており、恐らく助からないと思います」と答え、ま

た、「応急措置としては本人の血液を注射しても差支えないと思います、特に血管

に注射したのではなく筋肉に注射していますので過失はないと思います」と答えて

いるのであつて(一四三丁以下)、その他因果関係を否定すべき根拠は認められな

い。)

同第四点について。

健全な合理性に反しないかぎり、裁判所が自由裁量によつて被告人側の証人申請

を却下しても、憲法三七条二項に反するものといえないことは、当裁判所の判例と

するところである。(昭和二三年(れ)八八号同年六月二三日大法廷判決、集二巻

七号七三四頁参照。)本件の場合、原審における弁護人の証拠申請は、刑訴三九三

条一項但書にいう「第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠

でその事由が疎明されたもの」の取調請求とはいえないから、原審がこれを却下し

ても、もとより同但書に違反するものではないし、また原審が自由裁量によつてこ

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れを却下したことが健全な合理性に反するものと認めるべき根拠もない。従つて所

論は理由がない。

その他本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二八年三月三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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