大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)4234 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人田中秀恵の上告趣意第一点について。

論旨は単なる法令違反の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかも記録

によると、原判決が被告人の前科につき判示するところと、前科調書の記載との間

に、差異のあることは所論のとおりであるが、原審は、結局本件犯情として、被告

人が先きに窃盗の罪を犯し、現にその刑の執行猶予中であるに拘わらず今また本件

犯行に及んだ点を重視し、第一審の科刑を相当と認めた趣旨であることは明白であ

る。従つて被告人の前科についての原判決の判示するところが細目において前科調

書の記載と異なるとしても、本件犯罪が執行猶予期間中に犯されたとの犯情の点に

ついては、何等異なるところはないのであるから、所論の如き事由を以つて原判決

を破棄すべきものとは認められない。

同第二点について。

当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日大法廷判決)に従

えば、犯人の処罰は憲法一四条にいわゆる人種、信条、性別、社会的身分又は門地

による差別的処遇ではなく、特別予防及び一般予防の要請に基いて各犯罪各犯人毎

に妥当な処置を講ずるのであるから、その処遇の異なることのあるべきは当然であ

る。事実審たる裁判所は、犯人の性格、年齢及び境遇並に犯罪の情状及ぴ犯罪後の

情況等を審査してその犯人に適切妥当な刑罰を量定するのである。原判決は被告人

が刑の執行猶予中であるにもかかわらず重ねて本件犯罪を犯した事実を認め、この

ことを参酌して量刑を考察した上、第一審判決を相当として維持したのであるから、

原判決に所論のような違憲の点なきこと右の判例に徴して明らかである。論旨は理

由がない。

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なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見を以て、主文のとおり判決す

る。

昭和二八年三月三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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