大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)113 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岩崎光衛の上告趣意は末尾添附別紙記載のとおりである。

論旨第一点に対する判断。

原判決の認定した事実によると、被告人は、土蔵のそばに忍び寄つたAを、長男

B、次男Cと共に、竹棒で殴打して組み伏せ、荷縄で手足を縛り上げたのち、Bと

共謀し、Aを殺害して後難と将来の煩累とを除こうと決意し、BをしてAの頸部を

絞扼させて窒息死に至らせたというのであり、右事実は原審挙示の証拠によりこれ

を認めることが出来る。右の如く被告人らが、すでに被害者を縛り上げ何等危険も

なくなつた後において殺害するに至つた行為は被告人らの生命、身体に対する「現

在の危険」を排除するためであるとは到底いえないから、所論法律第一条第一項に

該当しないこと明白である。そして同条第二項は「前項各号の場合に於て」云々と

規定して居るのであり、被告人等の右行為は第一項第一号にいう「盗犯を防止し又

は盗賍を取還せんとするとき」の行為でないのは勿論第二号の「侵入する者を防止

せんとするとき」の行為でもなく、又第三号の「排斥せんとするとき」にもあたら

ない。それ故被告人の殺害行為は、同項各号のいずれかの場合において行われたも

のであるとはいえないのであつて、従つてこれについては同条第二項の適用もない

わけである。されば原審が被告人の行為について同条の適用を拒否したことは正当

であり、又これを適用しないことについて、特にその理由を説示する必要はないの

であるから、原判決には所論のような理由不備の違法もない。論旨は採用しがたい。

論旨第二点は量刑不当の主張であるから、刑訴応急措置法一三条二項により上告

の適法な理由にならない。

よつて旧刑訴法四四六条に従つて主文のとおり判決する。

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以上は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 田中巳代治関与

昭和二六年五月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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