大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)1421 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告趣旨は末尾添附別紙記載のとおりである。

よつて記録を精査するに本件公訴事実は、偽造公文書行使並びに食糧緊急措置令

違反の事実であつて、第一審もその事実を認定し、偽造公文書行使の所為に対して

は、刑法一五八条一項、一五五条(認定事実に照らし合せると一五五条一項を適用

したものであること明らかである)、食糧緊急措置令違反の所為に対しては、同令

一〇条等を適用している。従つて本件は旧刑訴三三四条一項所定の「死刑又ハ無期

若ハ短期一年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ該ル事件」であるからいわゆる必要的弁護の事

件である。しかして原審では、弁護土茂手木豊治一人が弁護人に選任されていたの

であるが、第二回公判調書を見ると、「弁護人茂手木豊治不出頭」との記載がある

に拘らず、公判が開廷され、被告人に対する尋問、証拠調、検事の論告、被告人の

最終陳述等が行われたことが記載されている。なお、第一回公判は被告人不出頭で

延期となり、第三回公判では原判決の宣告だけが行はれていること、各公判調書の

記載に徴し明らかである。しかも右第三回公判調書記載の弁護人「不出頭」が「出

頭」の誤記でないこともその調書の記載内容上疑いをいれる余地がない。又別に弁

護人が選任されて出頭した形跡もない。果して然らば原判決は旧刑訴四一〇条一〇

号の「法律ニ依リ弁護人ヲ要スル事件……ニ付弁護人出頭スルコトナクシテ審理ヲ

為シタルトキ」にあたる違法の判決というの外なく破棄を免れない。

よつて旧刑訴四四七条四四八条の二によつて主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 石田富平関与

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昭和二六年九月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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