最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)2255 判決
主 文
原判決中被告人A、同Bに関する部分を破棄する。
被告人A、同Bを各罰金三〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときはそれぞれ金一〇〇円を一日に換
算した期間被告人等を労役場に留置する。
右被告人両名に対する公訴事実中物価統制令違反の点について各被告人
を免訴する。
被告人C、同D、同Eの各上告を棄却する。
理 由
被告人A、同Bの弁護人小玉治行、同丹波景政、被告人C、同Dの弁護人坂野英
雄、同大高三千助、同村瀬直養及び被告人Eの弁護人竹上半三郎、同森良作、同富
澤準二郎の各上告趣意は末尾添付別紙書面記載のとおりである。
(一)弁護人坂野英雄、同大高三千助、同村瀬直養の上告趣意第一点及び第二点
について。
憲法二五条違反の主張が理由のないことは当裁判所昭和二三年(れ)第二〇五号、
同年九月二九日大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。そして原審は被告人E等
は法令によつて公務に従事する職員と判定したものであること原判文上明白である。
それ故原審は刑法七条にいう公務員とは法令によつて公務に従事する職員でなくて
もよいというような判断即ち所論各判例に反する判断をしたものではなく却つて右
刑法の規定の解釈に関しては所論判例の趣旨に従つているものであるから判例違反
の主張も理由がない。その他の論旨はいずれも刑訴四〇五条所定の上告理由に当ら
ない。なお被告人E等に対する東京都の本件任命を無効とすべき理由はなく(後記
参照)その他刑訴四一一条を適用すべき理由も見出せない。
(二)弁護人竹上半三郎、同森良作、岡富澤準二郎の上告趣意第一点及び第二点
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について。
被告人Eに対する東京都の本件任命を無効とすべき理由はない。原審の認定した
事実によれば本件都の任命は形式的に技術吏員及び無給嘱託員の任命として有効に
成立しているのであつて日々出勤を要する嘱託員は有給とする旨の規定はあるけれ
ども無給嘱託員は日々出勤であつてはならないとする規定は存在しない。即日々出
勤する者には俸給を与えることを規定しただけで本件の如く事実上給与を得て居る
者が合意の上無給嘱託となることを禁ずる趣旨とは考えられない。その他本件任命
を無効とすべき根拠は何もない。そして同被告入は実質的には当時としては十分生
活を維持し得べきだけの収入を都から与えられていたのであるから所論違憲論は前
提を欠くものである。(要するに本件任命は、被告人E等に単なる吏員としては当
時給与し得なかつた高給を支給するために取られた便法であるが脱法行為としてこ
れを無効とすべき理由もない。被告人等は現実に都から普通吏員よりは遥かに高率
の給与を受けて公務に従事していたもので刑法七条にいう公務員に該当するものと
解すべきは勿論である。論旨は右高給を給するために取られた便法を捉え末節的論
理を操つて公務員にあらずと主張するもので到底左担できない。)その他の論旨は
いずれも刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。なお記録を調べても刑訴四二条
を適用すべきものとは認められない。
以上説明するように被告人C、同D、同Eに関する論旨はいずれもその理由がな
いから同被告人等の本件各上告は刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条によりこれを棄
却すべきものとする。
(三)弁護人小玉治行、同丹波景政の上告趣意第一点及び第二点について。
所論は事実誤認と量刑不当の主張であつていずれも刑訴四〇五条に当らない。
しかし職権で調査すると被告人A、同Bに対する本件公訴事実中物価統制令違反
の点については昭和二七年政令第一一七号大赦令によつて大赦があつたので刑訴施
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行法二条三条の二、刑訴四一一条五号、旧刑訴四四八条三六三条三号により原判決
中右被告人両名に関する部分を破棄し同被告人等に対し右公訴事実について免訴の
言渡をなすべきものとする。
よつて原判決が確定した右大赦にかからない事実に法律を適用すると被告人A、
同Bの所為は各刑法一九八条一九七条一項前段に該当するからいずれも所定刑中罰
金刑を選択し(罰金等臨時措置法二条三条刑法六条一〇条により軽い改正前のもの
による)被告人Bについてはその金額の範囲内で又同Aについては同法四五条前段
の併合罪に当るから同法四八条二項に従いその合算額の範囲内で被告人両名を各罰
金三〇〇〇円に処し右罰金を完納することができないときは同法一八条によりそれ
ぞれ金一〇〇円を一日に換算した期間同被告人等を労役場に留置べきものとする。
よつて裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
検察官 大津民蔵関与
昭和二八年二月二四日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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