大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)450 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人廣田晋一の上告趣意第一点について。

論旨は憲法違反の語を以て原判決を非難しているけれども、その実質は審理不尽

等訴訟手続上の違背を前提とする主張に外ならないしかるに原審公判調書を調べて

みると、裁判長は被告人に対し、被告事件を告げ、本件につき予め陳述することが

あるかどうかを問うて、充分に陳述する機会を与えているし、弁護人も被告人を訊

問している。また証拠調に際しても、各個の証拠の取調を終える毎に被告人に意見

の有無を問い、なお利益の証拠があれば提出することができることを告げている。

これに対して被告人及び弁護人は「なにもない」旨答えている。更らに弁護人は被

告人に有利な弁論をし、被告人には最終陳述の機会が与えられている。これによつ

てみれば原審においては審理が充分に尽されたことを窺い得るのであつて、原審が

自ら一人の証人さえ調べずに事実認定をしたからとて、これを以て所論(一)のよ

うに審理不尽ということはできない。

所論(二)の(イ)(ロ)(ハ)の事実はいずれも原判決挙示の証拠によつて認

め得られるところであり、また(ニ)(ホ)の事実は原判決の認定していないとこ

ろである。従つてこれ等の点につき原判決には所論のような違法はない。

以上の次第で、論旨はその前提が成り立たないのであるから、かような前提の上

に立つ憲法違反の主張も亦採用することができない。

同第二点について。

原判決は被告人の第一審公判廷における供述を証拠として採用しているけれども、

これは自らその犯罪事実を認めた供述ではないから自白ではない。のみならず原判

決はその他の証拠をも合わせて判示事実を認定しているのであつて、被告人の供述

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のみを唯一の証拠としてこれを有罪としたのではないから、原判決を憲法三八条三

項に違反するものと主張する論旨はその前提を欠き、採用することができない。

以上の理由により刑訴施行法三条の二、刑訴法四〇八条に従い主文のとおり判決

する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二六年六月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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