大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)727 判決

主 文

本件上告を棄却する

理 由

弁護人長島忠信の上告趣意について、

記録によると、被告人は所論のように原審第一回公判で「罰金刑をお願い致しま

す」と述べていることが認められるし、常習賭博(刑法一八六条一項)には法定刑

として懲役刑のみが規定されていることから見ると、被告人は原審公判で一応常習

賭博たることを争つたようにも見える。しかし、原審公判調書を見ると、被告人は

原審で犯罪事実(常習の点も含めて)を全部自白し、別段常習性を争つていないの

である。すなわち、被告人は原審公判で第一審の判決摘示の犯罪事実(原判決と同

様に常習賄博の事実を認定している)を読み聞けられたのに対し、「その通り相違

ありません」と答えているのである。従つて、被告人の全供述を通読すると、最後

に被告人が述べた「罰金刑をお願い致します」という供述は、徴役刑より軽い罰金

刑の方を願う常人の単純な希望を述べたに過ぎないのであつて、常習賭博の法定刑

が懲役刑のみを規定していることを特に念頭に入れた精密な法律的智識を前提とし

て発言したものでないと解するのが妥当である。それゆえ、原判決には所論のよう

な不法はなく、論旨で主張するような憲法違反を成立せしめる前提となる事実は認

められないので論旨は採用できない。

よつて、刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致した意見によ

り主文のとおり判決する。

昭和二六年九月一八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

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