大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)4255 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人本人の上告趣意(後記)について。

所論は、原判決の事実誤認を主張し、ひいて量刑不当を主張するのであつて刑訴

四〇五条の上告理由に当らない。

被告人弁護人高木善種の上告趣意(後記)について。

第一点の所論は、訴訟法違反の主張であるから刑訴四〇五条の上告理由にあたら

ない。なお記録を調べて見ると、第一審において検察官が被告人の司法警察員及び

検察官に対する各供述調書を証拠とすることについて、被告人も弁護人も共に同意

し且つその証拠調についても異議がない旨述べていることが認められる(記録三七

丁)。このように被告人が書面を証拠とすることに同意した場合は、刑訴三二五条

に従つて書面に記載された供述が任意にされたものかどうかを調査する必要がない

とするのは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和二五年(あ)第一三

三三号昭和二六年六月七日第一小法廷決定、集五巻七号一二四三頁参照)。 所論

の引用する原判決の説明の部分は、文辞誤解を招くおそれがないではないが、全文

を通読すれば、被告人及び弁護人が前記書面を証拠とすることに同意したことは、

すなわちその供述が任意になされたことを認めたのであり従つてその証拠能力を認

めた趣旨であるから、一旦同意した後さらにまた任意性を争うのは前後矛盾する行

為であつて、後にかかる主張をしても結局採用することができないという右判例の

趣旨に基く判断を示したものにほかならない。従つて論旨はこの点においても理由

がない。 (なお記録を調べてみても被告人の各供述が任意になされたものでない

と疑えるような事実は認められない)。

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同第二点について。

所論は、原審において主張も判断もされなかつた違憲の主張を当裁判所の判例に

反する独自の見解の下に当審において主張しその判断を求めるのであつて、適法な

上告理由と認めることはできない(なお所論Aの各供述調書は、第一審判決が証拠

に採用しなかつたものであり、また第一審の裁判官が所論のように予断を懐いて判

決をしたと疑えるような形跡は記録上全く認めることはできない)。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和二八年一一月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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