大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)480 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人の上告趣意について。

論旨第七点は証拠調の際に被告人を出廷させなかつたことを憲法違反と主張して

いるので、記録を調べてみると、原審は第一回公判で本件につき事実の取調をする

旨を宣し、昭和二六年一〇月二七日裁判所外において証拠調をしたのであるが、所

論のとおり被告人はこれに立会していない。しかし、当時、松江刑務所に在監中で

あつた被告人に対し予め一〇月一九日証拠調期日は通知されており(一三三丁)、

尚、被告人の弁護人も右証人尋問に立会い被告人のため証人に対し直接尋問する機

会が与えられているのである。ところで「裁判所が証人を裁判所外で尋問する場合

に被告人が監獄に拘禁されているときのごときは、特別の事由なき限り、被告人弁

護の任にある弁護人に尋問の日時場所等を通知して、立会の機会を与え被告人の証

人審問権を実質的に害しない措置を構ずるにおいては」被告人自身を証人尋問に立

会わせなくても憲法三七条二項の規定に違反しないことは当裁判所の判例とすると

ころであるから(昭和二四年(れ)一八七三号、同二五年三月一五日大法廷判決、

昭和二四年(れ)三三六号、同二五年九月五日第三小法廷判決)、原審の前記措置

は被告人の証人審問権を実質的に害しないものというべく、論旨は理由がない。

その余の論旨は、結局審理不尽、事実誤認の主張に帰するから、いずれの点も適

法な上告理由とならない。

弁護人高橋一心の上告趣意について。

所論原審第三回公判調書に、被告人「A」と記載されているのは、前後の関係か

ら見て、「B」の誤記であること明白である。また、公判調書は、所論のようにこ

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れを供述者に読み聞かせ、又は閲覧させて、その記載が相違ないか否かを問うこと

を要しないものである(刑訴規則四五条、三八条三項)。従つて原判決には所論の

ような違法なく、憲法違反の論旨は、すべてその前提を失うから採用することがで

きない。

なお記録を調べてみても本件に刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二七年五月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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