大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)4806 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人豊田悌助の上告趣意第一点について。

所論援用の当裁判所判例は、「被告人が甲に対し乙への一定事項についての伝言

を頼んだ」という事実を示す証拠と、これと相反する、「そのような伝言を頼んだ

のではない」という事実を示す証拠とによつて、「被告人が甲に対し暗に乙への右

事項についての伝言方を慫慂した」との事実を積極的に認定した判決は、その証拠

上の理由に齟齬があるという趣旨のものであるが、所論原判示は、Aの各供述調書

中の相反する供述内容自体を綜合して事実を認定しうるといつている趣旨ではなく、

各供述調書中の供述内容には、くいちがつた部分があるけれども、その部分につい

ては、そのあるものを採り、他のものを棄てることによつて、他の各証拠と相俟つ

て事実を認定しうるという趣旨にすぎないのであるから(証拠の標目として掲げら

れた証拠の中、判示にそわない部分は、証拠としなかつたものと解しうることにつ

いては、昭和二六年(れ)二〇〇一号同年一二月二五日第三小法廷判決、集五巻一

三号二六三〇頁参照)、原判決は何等前記判例と相反する判断をしているものでは

なく、所論は理由がない。

同第二点について。

所論は事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。なお記録を調べ

ても、本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和二九年二月九日

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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