大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)5270 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人横瀬義信の上告趣意(後記)第一点について。

所論違憲の主張について、その理由とする第一審判決の判示第二の事実に大赦令

に当るべき所得税に関するものを包含しているかどうかを記録によつて調べてみる

と、大阪国税局告発書脱税額計算書には、過月分給与当月支給額とあつて、昭和二

五年四月以降の分について当月とは、四月以降の月を指すこと文理上明らかである

のみならず、給与の支払遅延によつて昭和二五年三月以前の分が支給されたとして

も、現実に支給されたのが当月すなわち昭和二五年四月以降であれば、犯罪は現に

支給された時に成立するものと解すべきであり、犯罪成立以前においては大赦令適

用の余地も存しないものといわなければならない。従つて所論の前提たる主張がす

でに理由がない以上これに基く違憲の主張は成立せず、適法な上告理由に当らない。

同第二点について。

所論憲法三〇条違反の主張は、原審で主張されず従つてまた原判決の判断を経て

いない事項なるのみならず、その実質は事実誤認の主張に過ぎないから、適法な上

告理由に当らない。(なお所論は、原判決は脱税額の算出に当り扶養控除を受くべ

き者の数額を計算していないと主張するけれど、そのような事実は記録上なんら認

められないのみならず、源泉徴収義務者の納付額は、所得税法の規定により、控除

に当る事項の申告に応じ計算されるのであるから、別に控除額を計算して判示する

ことを要するものではない。)

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二九年二月二三日

- 1 -

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!