大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)5925 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Cの負担とする。

理 由

被告人Aの弁護人武藤禾幹の上告趣意、被告人Bの弁護人浅野松次郎の上告趣意、

被告人Cの弁護人石井一郎の上告趣意はいずれも量刑の非難であつて上告適法の理

由にならない。

被告人Dの弁護人遊田多聞の上告趣意第一点は旧麻薬取締法第三条第一項にいう

譲渡の解釈につき、原判決が必ずしも所有権移転を伴う所持の移転に限られない旨

判示したのが高等裁判所判例と相反する判断をした旨主張し、被告人Eの弁護人鈴

木一郎、被告人Fの弁護人大畠農夫雄もそれぞれの論旨においてこの点を法令違反

として論じているが、旧麻薬取締法三条一項にいう譲渡は、同法が麻薬に関するあ

らゆる行為を取締の対象とすることによつて公衆衛生の保持を図つた趣旨から見て、

麻薬の移転に関する行為は所有権の移転を伴うものに限らず、広く譲渡の観念中に

包含せしめたものと解するのを相当とするのであつて、このことはすでに当裁判所

の判例とされているところである(昭和二六年(あ)三六三四号同二七年四月一七

日第一小法廷判決、刑集六巻四号六七八頁、同法四条の譲渡につき昭和二七年(あ)

三三七三号同二九年八月二〇日第二小法廷判決)。 これと異る見地に立つ所論は

採用し難く、また挙示の高等裁判所判決はすでに判例としての効力を失つているか

ら、これに基く所論は判例違反の主張に当らない。

被告人Gの弁護人福田耕太郎の上告趣意第一点は、第一審判決の証拠の標目の挙

示が、刑訴三三五条一項の要件を充たさないとして、高等裁判所判例、大審院判例

を援用して判例違反を論ずるが、証拠の標目は記録に徴してどの証拠でどの事実を

認定したか判明する程度に挙示すれば足りることすでに当裁判所の繰り返して判例

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とするところであつて(昭和二五年(あ)一〇六八号同年九月一九日第三小法廷判

決、刑集四巻九号一六九五頁、同二五年(あ)七七三号同二六年四月一七日第三小

法廷判決、刑集五巻六号九六三頁等)、挙示の判例はいずれも当裁判所の判例によ

り変更されたものである。所論は採用できない。

被告人Fの弁護人大畠農夫雄の上告趣意第一点中に相被告人の供述の証拠能力欠

如を論ずる点があるが、相被告人の供述であつてもただそれだけの理由によつて証

拠能力を全く失うものでないことすでに当裁判所の確立した判例であり(昭和二三

年(れ)七七号同二四年五月一八日大法廷判決、刑集三巻六号七三四頁等)、その

余は事実誤認の主張に帰する。

被告人Hの弁護人関谷信夫の上告趣意は、刑訴四一一条の違憲を論ずる点がある

が、同条が憲法に違反しないことは当裁判所の判例であつて(昭和二四年新(れ)

四八一号同二五年七月二五日第三小法廷判決、刑集四巻八号一五一九頁、昭和二二

年(れ)四三号同二三年三月一〇日大法廷判決、刑集二巻三号一七五頁)、所論は

採用の限りでない。

その余の各弁護人の論旨(鈴木弁護人第二点、遊田弁護人第二点、福田弁護人第

二点)は、いずれも事実誤認、量刑不当の主張であつて、上告適法の理由にならな

い。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条、一八一条(被告人Cに対し)により裁判官全員一致の意見て

主文のとおり判決する。

昭和二九年一二月二一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

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裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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